【現場レポ】アーチが紡ぐ木の原風景。CLT材を大規模に使用した幼稚園の見学会に参加してきました

先日、宮城県仙台市青葉区上愛子で建設が進んでいる幼稚園新園舎の工事見学会に参加してきました。

今回の見学会は、宮城県CLT等普及推進協議会が主催されたもので、県産材CLTの積極的な活用の可能性を間近に感じられる貴重な機会となりました。

アーチが織りなす「原風景」と空間の重層性

本プロジェクトで最も印象的なのは、子どもたちの心象風景に残る「原風景」を創り出そうとする設計意図です。

設計を手掛けられたDOG+シオダ設計共同体の皆様は、アーチ状の開口を持つ「かまぼこ壁」を象徴的に配置。これらが連続することで、奥が見え隠れする重層的な空間が生まれています。このアーチをくぐり抜けながら、追いかけっこやかくれんぼを楽しむ子どもたちの姿が目に浮かぶような、ダイナミックで柔らかなデザインが非常に魅力的でした。

1階の保育室は南側の「縁側廊下」でつながり、2階には広々としたランチルームと屋上デッキが設けられています。どこにいても木の温もりを感じられ、子どもたちの感性を育む「木育」の場として、非常に緻密に計画されていました。

構造とCLTの活用

本建物は地上2階建ての木造建築です 。 CLTの活用においては、以下の点が技術的なポイントとして紹介されていました。

  • 県産材の活用: CLT補助金の要件に基づき、宮城県産材を全体木材使用量の50%以上使用しています 。
  • CLT現し(あらわし): 大屋根にCLTを使用し、その素材感をそのまま見せる「現し」の手法が採られています 。
  • 適材適所の設計: CLTの厚みを調整することで、素材の強みを最大限に引き出しつつ、子どもたちが木の温もりに直接触れられる「木育」の場としての機能も持たせています 。

現場で感じた施工の工夫

施工を担当するコクドビルエースさんの資料によると、建方の工期は約38日間、延べ299人の大工さんが携わっているとのこと 。 現場では、複雑なかまぼこ壁の構成や、細長いCLTパネルをかまぼこ壁に沿う形を形成し精密に配置する事で、1枚のCLTパネルで造られた曲面天井のように見えました。

また、1階の保育室から南側の「縁側廊下」を通じて園庭へとつながる開放的な動線計画も、実際のスケール感で見るとその心地よさが際立っていました

おわりに

地域材である宮城県産材を使ったCLTの曲面天井と「かまぼこ壁」という象徴的なデザインの本プロジェクトは、これからの木造公共建築のひとつの指標になると感じました。

設計者として、素材の活かし方や空間の紡ぎ方について多くの刺激をいただいた一日でした。主催の宮城県CLT等普及推進協議会の皆様、そして現場をご案内いただいた関係者の皆様、ありがとうございました。

園舎が完成し、子どもたちがこの「木のアーチ」の下を元気に走り回る日が今から楽しみです。


建築概要

  • 名称: 友愛幼稚園新園舎新築工事
  • 所在地: 宮城県仙台市青葉区上愛子字遠野原
  • 敷地面積: 2891.39 ㎡
  • 延床面積: 810.65 ㎡
  • 構造: 木造地上2階建て(布基礎)
  • 設計監理: DOG+シオダ設計共同体
  • 施工: コクドビルエース株式会社